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健康コラム

Vol.117

「肥満」の判定基準と「肥満症」の診断基準

2024.03.01

「肥満症」は医療の対象 偏見解消も課題に

肥満はさまざまな健康障害を引き起こすリスク要因です。日本肥満学会は2000(平成12)年に医療を必要とする肥満である「肥満症」の概念を提唱し、その診断基準を策定。その後、肥満症診療ガイドラインの作成と改訂を重ね、2022年にはその最新版の改訂を発表しました。

肥満度の分類には「BMI」と呼ばれる指数を用います(フロー図参照)。この結果が「25」以上を肥満、「35」以上を高度肥満と判定します。厚生労働省の2019年の「国民健康・栄養調査」で、BMI25以上の肥満(20歳以上・高度肥満を含む)の割合をみると、男性33.0%、女性22.3%。各年代で男性のほうが高い傾向にあり、とくに男性の40歳代は39.7%、50歳代は39.2%で、約5人に2人が肥満という結果が出ています。女性は60歳代の28.1%が最高です。

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ただし、肥満や高度肥満に分類されただけで医療が必要とされるわけではなく、肥満に加え「肥満に起因ないし関連する健康障害(2型糖尿病・脂質異常症・高血圧・冠動脈疾患・脳梗塞など)」がある場合、または「内臓脂肪型肥満」と診断された場合に「肥満症」と診断されます。BMIが35以上の肥満症は「高度肥満症」です。

肥満症と診断されたら、健康障害の改善のため、まず現体重の3%減を目標に食事療法などの治療を開始します。ただし、65歳以上の高齢者は筋肉量の減少によって転倒・骨折などのリスクが高まるフレイルの発症も考慮し、適切なBMIは22~25とやや高めに設定されています。

高度肥満症の場合、食事・運動・行動などの治療法に加え、外科治療も選択肢です。胃を小さく形成することにより食事量を制限する治療で、日本では腹腔鏡を用いた「スリーブ状胃切除術」が健康保険の適用になっており、成果を上げています。ただし、糖尿病や高血圧などを合併した高度肥満症で、6か月以上の内科的治療によっても効果が不十分な患者が対象です。

肥満に関しては「スティグマ」と呼ばれる、誤解に基づく偏見も問題視されており、ガイドラインでも触れています。肥満にはさまざまな発生要因があるにもかかわらず、周囲の人が「食事の管理などの自己管理能力が低い」と決めつける「社会的スティグマ」や、患者自身が「肥満は自分の責任」と考える「個人的スティグマ」などで、治療の妨げにもなっているため、その解消を訴えています。

※腹部CT検査などによって内臓脂肪面積が100㎠以上の状態。

宮崎 滋

監修/宮崎 滋

東京医科歯科大学医学部卒。2015年から結核予防会総合健診推進センター所長。日本生活習慣病予防協会理事長。

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