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健康コラム

Vol.118

減量は食事・運動・体重「見える化」で

2024.04.01

急激な減量は危険 目標は3~6か月で3%

肥満の人が減量に取り組む場合、急激な減量は避けるべきです。肥満症の人はいったん減量に成功してもリバウンドして再悪化しやすい傾向にあるうえ、極端な食事制限によって短期間で大幅に体重を減らすと、脂肪とともに筋肉も減少。それにより消費エネルギー量も減るため、食事で摂取したカロリーが脂肪として貯まりやすく、リバウンドのリスクを一層高めてしまいます。さらに、そうしたリバウンドの結果、肥満で筋肉量も少ない状態になると、転倒などのリスクを高めることにもなりかねません。

日本肥満学会では、肥満症患者の減量について3~6か月かけて現体重の3%減少という目標を定めています。肥満症の人に6か月間の減量指導を行ったところ、3%の減量で血糖や血圧、脂質などの数値が有意に改善したという調査結果に基づくもので、体重が80キログラムの人なら2・4キログラムが目標になります。3%程度の体重減少では見た目はさほど変わらないかもしれませんが、健康にかかわる数値が改善すれば、減量のモチベーションにつながるでしょう。

減量の手段は食事・運動・行動療法の3つが基本です。このうち、食事は日本肥満学会が「25キロカロリー×目標体重(キログラム)以下」という1日摂取エネルギーの目標を掲げていますが、一般の人が数字でコントロールするのは困難ですので、まずは1食あたりのご飯の量を「大きめの1口分」減らすことを目指しましょう。揚げ物や炒め物などをよく食べる人は焼き物や蒸し物中心に調理のスタイルを変える、野菜・海藻・きのこ類を積極的に食べるのも減量に効果的です。

運動についてはウオーキングや水泳などの有酸素運動を1日30分、週5回以上といった目標の設定が理想ですが、急な運動は体への負担も大きいので、まずは体を動かす時間を今より10分増やすといった無理のない範囲で始めましょう。洗濯物を干しながらスクワット、座っている時間に上体ひねりや背中のストレッチといった「ながら運動」もおすすめです。

最後の行動療法は、毎日決まった時間に体重を測定し、記録することが基本。記録することで体重の増減の原因に気付きやすくなり、減量のモチベーション維持にもつながります。グラフにして視覚化するとより効果的。スマートフォンの健康管理アプリを使えば、簡単にグラフを作成できます。活用してみましょう。

宮崎 滋

監修/宮崎 滋

東京医科歯科大学医学部卒。2015年から結核予防会総合健診推進センター所長。日本生活習慣病予防協会理事長。

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