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健康コラム

Vol.124

身体活動・運動ガイド 国が10年ぶりに内容刷新

2024.10.01

成人は歩行1日60分 運動週60分以上を推奨

改訂された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人・こども・高齢者といったライフステージごとに、身体活動や運動に関する推奨事項がまとめられています。その際、身体の状況は個人差が大きく、特定の年齢で区切ることは適当でないとして各ステージの年齢幅は示さず、そのうえで「個人差(健康状態、体力レベルや身体機能等)を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組むことが必要」と強調しています。

また、それらの取り組みを進めるにあたって、まずは「座りすぎを避け、今よりも少しでも多く身体を動かすことが基本」とも指摘されています。これは近年の研究で、座っている時間が長いほど死亡リスクが高まるという報告がなされていることを受けたもので、今回のガイドラインでは初めて「座位行動」(座ったり、寝転んだりした状態でデスクワークをする、テレビやスマートフォンを見るといった行動のこと)という概念を採用。なるべく、その時間が長くなりすぎないよう注意を求めています。

そのうえで、具体的な推奨事項として、成人には「歩行、またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上」行うことを提示。60分の歩行は約6000歩に相当し、これ以外の家事などの生活活動が1日約2000歩に相当するとして、1日の歩数を「約8000歩以上」と定めています。

また、運動に関しては「息が弾み、汗をかく程度以上」の強度のものを「週60分以上」行うことを推奨。また、「筋力トレーニングを週2~3日」取り組むことも推奨しており、これは「週60分以上の運動に含めてもよい」とされています。

一方、高齢者には「歩行、またはそれと同等以上の身体活動を1日40分以上」、さらに「有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上」行うことを推奨しており、成人同様、「筋力トレーニングを週2~3日」行うことも求め、これは「多要素な運動に含めてもよい」としています。

スペースの都合で、上の表には含めていませんが、こどもに関しては「身体を動かす時間が少ないこども」を対象として、「(歩行などの)身体活動を1日60分以上」「高強度の有酸素身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上」行うことを推奨。「座りっぱなしの時間を減らし、とくに余暇のスクリーンタイムを減らす」ことも強調されています。

※テレビの視聴、テレビゲームやスマートフォンの利用など、スクリーンの前で過ごす時間

松下 幸生

監修/中島 康晴

九州大学整形外科学教室教授。日本整形外科学会理事長。専門は成人股関節外科・小児整形外科・関節リウマチ。

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