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健康コラム

Vol.125

週2〜3日の筋トレで健康増進

2024.10.31

胸・背中・下肢などの 大筋群をまんべんなく

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、「運動」を「身体活動の一部で、スポーツやフィットネスなどの、健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施する活動」と定義して、推奨事項を提示しています。成人に関しては「息が弾み、汗をかく程度以上の運動を週60分以上」、高齢者に関しては「有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上」、行うよう推奨していることは前回お伝えしたとおりです。

そのうえで、成人、高齢者ともに、運動の一部に「筋力トレーニング(筋トレ)」を週2~3日取り入れることを求めています。

筋トレとは「負荷をかけて筋力を向上させるための運動」。自分の体重を負荷として利用する自重トレーニング(腕立て伏せやスクワット)、ウエイト(おもり)を負荷として利用するウエイトトレーニング(マシンやダンベルを使用する運動)があります。

筋トレによって筋力・身体機能・骨密度が改善し、高齢者の転倒・骨折リスクが低減すること、18~98歳の筋トレ実施群は未実施群と比較して総死亡と心血管疾患・全がん・糖尿病の発症リスクが低いことなどが、国際的なレビューで判明。週2~3日の実施で健康増進効果が期待できるとして、ガイドに盛り込まれました。

ちなみに海外のレビューでは、筋トレの週あたりの実施時間が長すぎると逆効果であることが示唆されていることも「週2~3日」とした根拠のひとつ。「しっかりと筋肉を休める時間(休息日)をとることも重要」と同ガイドは指摘しています。

そのほか、筋トレ実施に関するポイントは下にまとめたとおりですが、具体的にどんなトレーニングをどの程度行えばいいのか、迷う人も少なくないでしょう。参考例のひとつとして、厚生労働省は「標準的な運動プログラム」を公表しており、成人がマシンを使う場合は最大挙上重量の60~80%の重さを8~12回繰り返すことを推奨。胸・背中・下肢の各大筋群を鍛えるトレーニングを、メニューのなかから1種類ずつ選んで、まんべんなく行うことで効果が高まるとしています。

同プログラムは成人対象、高齢者対象、高血圧の人対象、肥満症・メタボリックシンドロームの人対象など、細かく対象を分けて標準的な運動プログラムを紹介していますので、併せて参考にしてみてください

厚生労働省「標準的な運動プログラム(健康増進施設)」

松下 幸生

監修/中島 康晴

九州大学整形外科学教室教授。日本整形外科学会理事長。専門は成人股関節外科・小児整形外科・関節リウマチ。

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