Vol.139
健康コラム

しつこい空ぜきは「せきぜんそく」かも

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早期に治療を開始して「気管支ぜんそく」進行防止を

「ぜんそく」といえば、従来は「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という呼吸音(喘鳴)を伴い、息苦しくなる「気管支ぜんそく」のことを指していましたが、1979年に米国人研究者らの提唱がきっかけになり、「せきぜんそく」という新たなぜんそくの概念が生まれました。

空気の通り道である気道が炎症を起こす点は、気管支ぜんそくと同じですが、気管支ぜんそくの場合は気管支が狭くなって空気の流れが制限される気流障がいを起こすのが特徴。喘鳴や呼吸困難が起きるのは、このためです。

一方、せきぜんそくは、気管支ぜんそくの亜流や前段階と位置付けられており、喘鳴や呼吸困難などの症状はなく、主にせきだけが出るぜんそくです。風邪などの感染症や、温度変化・匂い・会話・運動といった刺激などが引き金になりやすく、また、花粉症やハウスダストなどのアレルギーをもっている人も発症しやすい傾向にあります。また、せきはたんを伴わない空ぜきのことが多く、夜間や早朝に悪化することが多いようです。

日本では、せきが長引く遷延性・慢性咳嗽のなかで、最も頻度が高いとの報告もあります。また、患者の3分の1ほどが症状を悪化させて、気管支ぜんそくに進行する点にも注意が必要です。

風邪によるせきが長引いていると勘違いしているケースも時折見られますが、風邪薬による治療効果はありません。空ぜきが2~3週間続いている場合は呼吸器科を受診してほしいと思います。

せきぜんそくの検査では、胸部レントゲン撮影などで肺がんや肺炎といった重篤な病気がないことを確認し、必要に応じて肺機能検査や呼気中一酸化窒素濃度測定、血液検査などを行って診断します。せきぜんそくを発症している場合、肺機能検査で肺年齢が実年齢より高めに出たり、軽度の気流障がいが認められたりすることがあるほか、血液検査でアレルギー反応が出る場合もあります。

治療法は気管支ぜんそくとほぼ同じで、吸入ステロイド薬で気道の炎症を抑え、気管支拡張薬で気管支を広げる治療が基本です。吸入ステロイドは口から直接吸い込むもので、気道の粘膜に直接、薬剤が届くのがメリット。内服薬と違い、ごく少量で効果が得られるため、副作用も少なく、安心して使えます。

吸入ステロイドは現在、スプレー噴射タイプや粉末吸入タイプなど、さまざまなデバイス(吸入器具)がありますので、自分に合ったものを処方してもらい、正しく使う必要があります。

せきぜんそくは、適切な治療で治る可能性がある病気です。放置して気管支ぜんそくに進行しないよう、早期に治療を開始することが重要です。

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日野 光紀

日本医科大学呼吸器内科学教授、日本医科大学呼吸ケアクリニック所長。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。