Vol.140
健康コラム

喫煙により肺が壊れていくCOPD

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進行を止めるには禁煙が必須 薬物治療で症状悪化を防ぐ

 長引くせきの原因として、喫煙者や過去に喫煙していた人に注意してほしい病気がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)です。たばこの煙などの有害物質を長年、吸入することにより、肺や気管支に炎症が起きる病気で、せきやたんが続いたり、階段の上りや坂道などで息切れを感じたりするようになります。一方、風邪をひきやすい・治りにくい、呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という喘鳴がするといった症状が出る場合もあります。

症状は徐々に悪化し、進行すると、ちょっと体を動かしただけで息切れしたり、呼吸がつらくなり日常生活にも支障を及ぼすようになります。また、肺炎や肺がんなど肺の病気のリスクが高まるほか、動脈硬化が進行しやすいため、心血管疾患を併発することも少なくありません。

原因としては自身の喫煙が最も多いと考えられますが、ほかに受動喫煙や大気汚染、化学物質などにより引き起こされるケースもあるとみられています。

「NICEスタディ」と呼ばれる、国内の疫学調査研究によると、40歳以上の患者数は530万人、有病率は8・6%と推計されており、決して小さい数字ではありません。また年間の死亡者数は1万6629人(男性1万3950人、女性2679人)に上っています。

COPDの診断には、スパイロメーターという機器を使った呼吸機能検査(スパイロメトリー)が欠かせません。肺活量と、息を吐くときの空気の通りやすさを調べる検査で、それによって、1秒量(最初の1秒間で吐き出せる息の量)を、努力肺活量(思い切り息を吸ってから強く吐き出したときの息の総量)で割った「1秒率」が70%未満だと、COPDと診断されることになります。この数値は空気の通り道が狭くなり、空気の流れが制限される「閉塞性換気障がい」を判断する重要指標。この障がいはCOPDの人に典型的な症状です。

COPDの治療の第一歩は禁煙です。喫煙を続ける限り、1秒量は低下を続け、進行を止めることはできません。禁煙外来で禁煙補助薬の処方を受けるなどして、早期の禁煙を目指します。

そのうえで、気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張薬を使うのが治療の基本。この薬にはいくつかの種類があり、症状の程度などによって使い分けられます。また、たんを取る薬や感染症を防ぐ抗生物質などを使うこともあります。

COPDの人は感染症にかかると、症状が急速に悪化する「増悪」が起こりやすいため、インフルエンザや肺炎球菌、新型コロナウイルスなどのワクチンを接種しておく方が良いでしょう。日常生活ではバランスの良い食事や適度な運動で、体力の維持に努めることも大切です。

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日野 光紀

日本医科大学呼吸器内科学教授、日本医科大学呼吸ケアクリニック所長。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。