検索

マネーコラム

Vol.78

会社員が副業を始める前に注意しておきたいポイントをご紹介

2020.07.01

新型コロナウイルス感染症の影響で特に収入面でお困りのご家庭/個人もいらっしゃるかと思います。あるいは、今後、影響が出そう、というご家庭/個人もあるかもしれません。今や国も推奨する副業・兼業ですが、会社員が副業・兼業をするときの注意点を知っておきましょう。

■コロナ禍以前から国は副業・兼業を推進

国は人生100年時代の働き方として、副業・兼業の普及促進を行っています。2018年1月には、副業・兼業について企業や働く人が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインも作成されました。

同時に、モデル就業規則も改定し、遵守事項となっていた「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、副業・兼業についての規定が新設されました(第14章第68条)。「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」とされたほか、秘密漏洩をはじめ禁止・制限できるケースも明確に打ち出されました。

厚生労働省のモデル就業規則

厚生労働省のサイトでは、次のような方が副業・兼業の例として紹介されていました。

  • ・会社勤務×経営者
  • ・医師×会社経営者
  • ・会社勤務×個人事業主
  • ・会社勤務×一般社団の理事

あくまでも一部の例ですが、「パラレルキャリア」(現職以外の仕事を持つことや非営利活動に参加すること)のケースと言えます。コロナ禍でこうした傾向はますます強くなると思われます。

■まずは就業規則を確認しましょう。

副業を始める前に必ず確認するべきなのが、職場の就業規則です。国が推奨しているといっても、まだ副業が禁止されている企業も少なくないので、あらかじめ確認しましょう。規則を破って副業をしたのが発覚すると、解雇されることもあるので要注意です。

就業規則で副業が禁じられていても、上司や人事部にかけあって副業を認められたケースや、国の動きを見て就業規則が改定される直前というケースもあります。

■本業に支障がある副業は避ける

アルバイトや起業、資格を取って開業する、特技を生かして個人事業をする、ユーチューバーになるなど、副業の選択肢はさまざまです。国税庁のサイトで事例として載っているのは、不用品(資産)の売却や車を貸し出しての所得、ホームページ作成やベビーシッターなどによる所得、仮想通貨の売却益、競馬など公営競技の収益などの収入も含むという点です。つまり、副業の範囲はとても広いと考えられます。

どんな副業をするかは、自分の特技やスキルを並べて考えると思いますが、この時、本業に支障がある副業は外して考える必要があります。モデル就業規則では、労務提供上の支障がある副業や、企業の秘密漏洩につながる副業、会社の名誉・信用が損なわれる副業など企業の利益を害する副業は禁止されています。
副業は原則OKでも、モデル就業規則にもあるように、「こんな副業はNG」と規定されているはずですので、それについてもしっかり確認しておきましょう。

また、昼は本業、その後深夜まで副業という働き方で健康に弊害が生じるのも問題です。多少の制約がある中で、どのような副業をするかじっくり考えてみるといいですね。資格を取って開業を目指すなら、雇用保険の「教育訓練給付制度」を活用することが第一歩になります。
※「教育訓練給付制度」に関しては、以下の記事もご覧ください。

■副収入が20万円を超える場合は確定申告が必要

副業であっても課税対象となれば、納税をしなくてはなりません。会社員の場合、副業による所得が年20万円を超えると、確定申告が必要です(医療費控除やふるさと納税などで確定申告を⾏う人は20万円以下でも申告が必要)。
副業の所得であっても、確定申告を怠ると、場合によっては脱税とみなされ、追徴金などを請求されることもあります。確定申告は正直にしっかり行いましょう。

国税庁には、「副収入などがある方の確定申告」として、副業に関してスマホで確定申告を行ったり、納税をするための解説ページも用意されています。

■終わりに

コロナ禍でとにかく稼がないと、という人はすぐ収入につながる仕事をしないといけませんが、少し余裕ができたら、長期的に取り組む副業をじっくり考えてみるのもいいですね。ただし、高収入の副業を斡旋するといったふれこみで高い登録費用だけとられるような詐欺もあるようですので、十分に気をつけましょう。

参照:

(執筆者:豊田眞弓)

バックナンバー

全てを表示閉じる