新製剤の登場で予防が可能になった片頭痛
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発生メカニズムの解明が進み 治療効果は大きく向上
慢性頭痛のなかでもつらい症状を抱える人が多く、日常生活への影響が大きいのが片頭痛。国内に15歳以上だけで約840万人の患者がいると推計され、15歳未満も含めると1000万人近くに上る可能性があります。頭痛外来を受診する患者が最も多い頭痛です。
頭の片側が痛むことが名前の由来ですが、実際は両側が痛むケースもあります。また、ズキンズキンとする拍動型の痛みが多い一方、緊張型頭痛のようなぎゅっと締め付けられるような痛みを感じることもあり、それが緊張型頭痛と誤診されがちな理由です。
頭痛の発作は通常月1~2回ですが、週2~3回の頻度で起きる患者もいます。持続時間は数時間から2~3日程度まで幅があり、強い痛みが数時間程度続いて、その後にすっきりしない状態が持続するケースが多いようです。
片頭痛がつらいのは、頭痛以外の症状を伴うことも一因で、多いのは吐き気・嘔吐と光や音への過敏状態。そのほかにも下痢やいらいら、むくみやすいなど多様な症状があります。なお、片頭痛には明確な前触れがなく、突然痛みが起きるものとは別に、ギザギザの光が目の前に現れる、といった前兆症状を有する頭痛があることも知っておいてください。
そんな片頭痛の原因として、近年の研究で、三叉神経が深く関与していることがわかってきています。三叉神経とは、顔面の感覚(痛覚・触覚など)を脳に伝える神経。ストレスや睡眠の乱れといった誘発因子によって脳内の三叉神経が刺激されると、CGRPという物質が放出され、この物質が脳の炎症をもたらし、頭痛を引き起こしていると考えられるのです。このCGRPの解明により、後述する新たな治療法も生まれています。
さて、その治療法ですが、まずは発作が起きているときの痛みを抑える急性期治療です。症状が比較的軽度の場合は作用がマイルドな鎮痛薬(非オピオイド系)を使います。一方、それで良くならない場合や中等度以上の片頭痛の場合に使用するのが、CGRPに着目し、その放出を抑制するトリプタン製剤。内服薬のほか、点鼻や注射もあります。
さらに予防治療にも抗CGRP関連製剤が登場し、治療効果が劇的に向上。発作が起きていないときに行う治療で、発作の回数が減る、痛みの程度を軽減するなどの効果が期待できます。副作用はほとんどありませんが、一部の患者には局所的に皮膚のかゆみが出ることがあります。
これらの治療に、生活のあり方を見直す生活療法を組み合わせることで、現在では片頭痛を「寛解」の状態までもっていくことが可能になっています。
※片頭痛における寛解は、予防薬を服用しなくても痛みが起こらない、またはまれに弱い頭痛が起きる程度で、薬の服用で速やかに痛みが治まる状態。