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健康コラム

Vol.55

寒さに負けない筋肉のつくり方

2019.1.10

寒い冬。風邪をひきやすくなったり肩がこったり、何かと不調をきたしやすい季節です。そんな季節に筋肉トレーニングはいかがでしょう?
筋トレをして筋肉をつけると寒さから身を守ることができます。そして、寒いからこそ効率良く筋肉をつけることができるのです。効果的な筋肉のつくり方を知って、冬の不調に打ち勝ちましょう!

■筋肉の4つの役割

筋肉の役割としては大きく以下の4つがあります。
①力を発生し、運動の源となる
②熱源となる
③循環の補助作用
④力学的ストレスから体を保護する

これらのうち、①は言うまでもなく筋肉のメインの役割。④は、体に強い衝撃が加わるスポーツ(アメリカンフットボールや空手など)において、骨や内臓を保護できるくらいの筋量が必要とされるということです。(参考文献:石井直方「筋肉学入門」講談社、2009)

■筋肉は熱を産み出す

続いて、役割②「熱源となる」についてです。寒いと体がブルっと震えます。これは、「シバリング」と呼ばれる生理現象。筋肉を収縮させることで熱を産み出そうとする体温調節行動です。筋肉の収縮に使用されるエネルギーの多くが熱となり体温を上昇させます。筋肉はエネルギーを使って熱を発し、「熱源」となっているのです。
ちなみに、体の中で最もエネルギーを消費するのが筋肉です。つまり、体の中で最も大きい熱源が筋肉ということになります。

表:ヒトの臓器・組織における安静時代謝量(糸川嘉則ほか「栄養学総論 改定第3版」南江堂、2006より)

■足の筋肉は重要なポンプ

次に、役割③「循環の補助作用」についてです。産み出された熱を運ぶのが血流です。血流が低下し、体の隅々まで血液を運べなくなると冷えや肩こりなどが生じます。
その血流にも筋肉が大いに関与しています。筋肉に力が発生すると圧力が高まり、血液が絞り出されます。逆に、弛緩すると血液が流れ込みます。このように収縮と弛緩を繰り返すことで、筋肉はポンプのように全身の血液の循環を助けてくれます。
特に、心臓から一番遠い筋肉である下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)は下半身のポンプ機能の要で、「第二の心臓」と言われるほど。重力によって下半身に滞った血液を心臓に戻すポンプの役割を果たしてくれています。
Vol.23「貧乏ゆすりは金持ちゆすり?!」を合わせて読んでいただければ、一般的にお行儀が悪いとされている貧乏ゆすりが、ポンプ機能を高めるのに有効だということがわかります。

■効果的な筋トレ

このように私たちの体にとって大事な役割を果たしてくれる筋肉ですが、その量は年齢とともに低下します。したがって、筋トレにより筋肉量を保つことが重要。筋トレと言われても、何から始めればよいのかわからない! 時間もないし体力もない! という方も多いでしょう。筆者もそのひとりです。なるべく少ない時間や労力で最大限の効果が得られるような筋トレを目指したいものです。
「大きな筋肉から鍛える」という筋トレの鉄則に従いましょう。筋肉の大きさは筋力と比例し、大きな筋肉は小さな筋肉より疲れにくいことが知られています。また、大きな筋肉を鍛えると、その効果は他の筋肉にも波及するのです。最も大きい筋肉は大腿四頭筋(太もも前部の筋肉)。次に大きいのは大臀筋(お尻の筋肉)、内転筋(太もも内側の筋肉)、ハムストリングス(太もも裏側の筋肉)と続きます(Lube JらによるReference data on muscle volumes of healthy human pelvis and lower extremity muscles: an in vivo magnetic resonance imaging feasibility study. Surg Radiol Anat. 2016参照)。
つまり、大きな筋肉が多い下半身の筋トレから始めるのが効果的と言えそうです。

■下半身の筋肉を鍛える方法

下半身の筋トレ方法としておすすめなのがスクワットです。スクワットは、しゃがみこんで立ち上がる動作を繰り返し行うといういたってシンプルな運動です。このスクワットで使う足の筋肉が、大腿四頭筋、大臀筋、内転筋、ハムストリングス。つまり、大きい筋肉ランキングで上位を占める4つの筋肉です。スクワットで下半身の大きな筋肉を鍛え、効率良く熱を発生させましょう。
効率が良いといえば、冬というこの季節。基礎代謝が高い冬だからこそ筋トレの効果が得られやすいのです。なお、基礎代謝については、 Vol.54「代謝が上がると運気も上がる」も参考にしてください。

家の中でも簡単にできるスクワットを取り入れ、寒い冬を健康的に乗り切りましょう!

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