Vol.148
健康コラム

脳梗塞は一刻も早い治療開始がカギ

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治療効果の高いt-PAの投与は 発症から4時間30分以内が条件

脳卒中の治療は時間との勝負。そのために知っておいてほしいのが「ACT FAST」です。「FAST」の「F」は顔に現れる症状、「A」は腕に現れる症状、「S」は言葉に関する症状、「T」は発症時刻の確認を指します。症状に関する3つ(F・A・S)のうちの1つでも該当すれば、発症時刻(T)を確認し、ためらわずに119番通報を。これが「ACT FAST」です。

これらは全体に共通する危険サインですが、病気のタイプごとに特徴的な症状もあります。脳卒中の約4分の3を占める脳梗塞の場合、体の左右どちらかが麻痺する片麻痺や、ろれつが回らない、言葉が出てこないといった言葉の障がいが多く見られ、麻痺のある側にしびれなど感覚の異常を伴うこともあります。

病院への搬送後、最初に行われるのは脳の血管に詰まった血栓を取り除き、血流を再開させる急性期の治療。発症から4時間30分以内の場合は、血栓を溶かして血流の再開を促す「t-PA」という薬を静脈から投与します。この薬だけで血栓が溶けて血流が再開するケースもあるほど、高い効果が期待できる薬ですが、出血という副作用を伴うため、発症からの時間だけでなく、持病や服用中の薬も含めて慎重に適応を判断します。

t-PAが使えない場合やt-PAだけで血流が再開しない場合は、太い血管(主幹動脈)が詰まっているケースに限り、カテーテルを挿入して血栓を回収する治療を行います。発症6時間以内が原則ですが、画像検査で「まだ救える脳」が残っていると確認できれば、最長24時間以内まで対応可能になりました。

脳梗塞は再発リスクが高く、すぐに再発予防の治療に入る必要があります。再発予防の柱は2つ。1つは薬物療法で、脳梗塞のタイプに応じて薬を使い分けます。もう1つは生活習慣の改善。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過度の飲酒はいずれも再発の危険因子であり、その管理なしに再発は防げません。

脳梗塞を発症すると、何らかの後遺症が残ることが多く、機能回復や悪化予防のために行うリハビリテーションも大切な医療行為です。急性期の病院で開始してリハビリ専門病棟がある病院に転院し、そこを退院して自宅に帰った後も根気強く続ける必要があります。

脳梗塞では、その前触れとなることがある「一過性脳虚血発作(TIA)」が起きることがあります。一時的に脳の血流が悪くなり、手足の麻痺やしびれ、言葉の障がいが現れ、多くは数分~1時間ほどで症状が消えますが、48時間以内は脳梗塞を発症する危険性が高いため、症状が治まってもただちに119番通報するか、救急医療機関を受診してください。

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久保田 有一

東京女子医科大学附属足立医療センター副院長、脳神経外科教授・診療部長。専門はてんかん・脳腫瘍・脳卒中・認知症ほか。