Vol.144
健康コラム

免疫のブレーキ不調で自分の体に炎症

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膠原病は数十種の病気の総称 代表的な病気が関節リウマチ

膠原病は1つの病気を指す名称ではなく、血管や皮膚、筋肉、関節、内臓など全身の組織に炎症が起こる病気の総称で、本来自分の体を守るはずの免疫機能が暴走することによって発症します。自分自身を異物だと認識して排除しようとするリンパ球や抗体が体内に作られ、それらが慢性的な炎症を引き起こすのです。そこに含まれる病気は数十種類にも上ると考えられています。

かなり特異な病気であること、またわかりにくい病気であることなどもあり、「どうして自分がそんな病気になってしまったのだろう」と考え込む患者さんが少なくありませんが、明確な発症原因は今もわかっていません。ただ、長年の研究により、遺伝要因と環境要因がかかわり合って発症するということはある程度、判明しています。

遺伝要因といっても遺伝性の病気というわけではなく、膠原病になりやすい体質や素因が存在し、家族に患者がいる人はそうでない人よりも発症の確率が高いという意味です。もう1つの環境要因に関しては、個々の病気によっても異なりますが、ある種のウイルスへの感染や紫外線を浴びること、妊娠・出産、歯周病や喫煙習慣などと発症の関連性が指摘されています。

一方、膠原病の症状やその現れ方は、病気の種類によって異なりますが、共通する部分もあります。炎症が長く続くための発熱や倦怠感、食欲低下、関節痛、筋肉痛などの症状がそれです。発熱は微熱が続くケースが多いのですが、高熱が出ることもあります。また、起床時の手のこわばりや寒い場所で指が白くなったり紫色になったりするレイノー現象も、よく見られる症状の1つです。ただ、症状はじわじわと進む場合が多く、他の病気でも出やすい症状が多いため、初期のうちは見過ごされがちです。これらの症状が一定期間続いている場合は、早めに医療機関を受診したほうが良いでしょう。

さて、そんな膠原病に含まれる病気のなかでももっとも患者数が多いのが、関節に炎症が起きて痛みやはれを生じ、進行すると関節の変形や機能障がいをきたす関節リウマチで、患者数は80万人を超えると推計されています。

一方、免疫細胞が自分の体を攻撃して全身のさまざまな場所や臓器に多彩な症状を引き起こすのが、全身性エリテマトーデス。国の指定難病で、難病受給者証(特定医療費受給者証)の所持者数は約6・7万人ですが、実際の患者数は約10万人ともいわれています。

このほか、涙腺や唾液腺を主な攻撃の標的とするシェーグレン症候群、皮膚や内臓が硬化(線維化)する全身性強皮症(全身性硬化症)などの病気があります。

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田村 直人

順天堂大学医学部膠原病内科学教授。日本リウマチ学会理事。1987年順天堂大学医学部卒。